東京地方裁判所 昭和47年(借チ)1024号 決定
〔主文〕申立人が、相手方に対し、本裁判確定の日から三月以内に金四九万五、〇〇〇円を支払うことを条件として、(一)別紙目録(二)記載の建物を同目録(三)記載の建物に改築することを許可し、(二)別紙目録(一)記載の土地に関する賃貸借契約の賃料を右金員支払の日の属する月の翌月分から3.3平方米当り一ケ月一〇七円に改める。
〔理由〕2 附随処分
(一) 財産上の給付
本件改築により、住の快適性は増加し、このことは、借地上の建物を利用することによる申立人の収益(本件の場合は帰属家賃)の増加となり、本件土地の効用を増大せしめ、借地権価格の増加をもたらす。この借地権価格の増加分こそ改築許可の対価というべく、右増加分を財産上の給付とするのが相当である。しかしながら、増改築による借地権価格の増加分を求めることは、鑑定評価の現状においては困難のように見受けられるので、当裁判所では、裁判の公平の観点から、従来、借地上の建物の全面的改築の場合の財産上の給付を更地価格の三%程度としているので、本件の財産上の給付も右にならい、鑑定委員会の評価する本件土地の更地価格(3.3平方米当たり三三万円、総額一六五〇万円)の三六%にあたる四九万五、〇〇〇円とする。
鑑定委員会は、更新料を基礎に財産上の給付を考え、借地期間を二〇年延長し、残存期間が一七年あるところから、更新料(借地権価格の一〇%)に二〇分の三を乗じて更新料の額を修正し、快適性の増大、耐用年数の増大その他諸般の状況を顧慮して、右修正にかかる更新料の額の二倍をもつて財産上の給付とする。更新料は、土地の合理的利用とは関係のないものであるので、財産上の給付に更新料を援用することは、そもそも筋違いのことであるばかりでなく、更新料の授受は当事者の自治に委せるべきもので、第三者からこれが支払を強いうる性質のものでないので、更新料を財産上の給付の根拠とする考え方には賛成できない。なお、同委員会は、修正した更新料の額の二倍が財産上の給付として相当であるとしているが、この点の説明も納得しかねる。
(二) 賃料の改定
本件改築により借地上の建物を利用することによる申立人の収益が増加することは前に述べたが、収益の増加は、一方においては賃料増額の要因であるので、賃料を相応額に改定するのが相当である。鑑定委員会は、底地価格(更地価格からその七〇%にあたる借地権価格を控除したもの)に期待利回り1.3%を乗じ、それに固定資産税、都市計画税の年額を加えたものをもつて改定さるべき年間賃料であるとする。右は現実の賃料が底地価格を元本とした場合如何なる比率になつているかという一種の比準賃料から改定額を割り出す方法に拠つたものと思われるが、この場合の比率は、税抜きの純賃料と底地価格との比率ではなく、税込みの賃料、すなわち実際支払賃料そのものと底地価格との比率を見、もつて賃料の実勢を把えているのが一般である。右の意味の比率にはある程度の幅があるのは当然であるが、同委員会の示した1.3%の利回りは標準的である。よつて、3.3平方米当りの一ケ月の改定賃料を同委員会の評価する底地価格(3.3平方米当り九万九、〇〇〇円)に1.3%を乗じ、それを一二で除した一〇七円を相当とする。 (小山俊彦)
目録